イオン交換とは?
イオン交換は、砂や土壌が持つ水の浄化作用を中心に地球の誕生と共に超太古より大自然の中で営まれている現象です。
科学的にイオン交換現象を発見し検討したのは1850年頃H.S.Thomson、J.Spence、J.T.Wayと言われています。彼らは肥料中の硫酸アンモニウムを土壌に通すことによりアンモニア成分が除去され、代わりに硫酸カルシウムとして流出して来た現象を確認し土壌中に存在する粘土がイオン交換体の主体であることを突き止めました。
上記の現象は粘土中のカルシウムイオンと肥料中のアンモニウムイオンの交換が起きたことを示しています。このようにイオン交換とは、物質がイオン成分を取り込み、代わりに物質が持っていた他のイオン成分を放出する現象のことであり、このような作用を持つ物質をイオン交換体と言います。
イオン交換樹脂とは?
イオン交換作用を持つイオン交換体には、大きく分けて「無機イオン交換体」と「有機イオン交換体」が有りますが、「有機イオン交換体」の主たるものがイオン交換樹脂になります。
イオン交換樹脂は、三次元的な網目構造を持った高分子母体に、官能基(イオン交換基)を導入した合成樹脂であり、通常使用されるものは径が0.4〜0.7mm程度の球状粒子になっています。
イオン交換樹脂の高分子母体としては、スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体が最も一般的で、官能基が酸性を示す陽イオン交換樹脂と、塩基性を示す陰イオン交換樹脂に大別され、さらに導入されるイオン交換基の種類によって、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂、さらには重金属イオン等に選択的吸着性を有するキレート樹脂等が有ります。
イオン交換樹脂に出来ることは?
イオン交換樹脂は、イオン交換体としてイオン成分の交換が出来ることから、一般の水処理から電子産業用超純水の製造、食品分野、反応触媒など多岐に用いられています。
分野別の用途例(一例)を以下に記載します。
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- 水処理
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・軟水の製造
・純水の製造
・超純水の製造 -
水処理業界向け
イオン交換樹脂
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- 食品関連
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・焼酎の精製
・糖類の精製
・機能性食品(カテキンなど)の分離・精製 -
食品業界向け
イオン交換樹脂
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- 廃液処理・有価物の回収
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・希少金属・貴金属の回収
・めっき洗浄廃水処理 -
環境業界向け
イオン交換樹脂
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- 触媒反応
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・エステル化触媒
・加水分解 -
化学業界向け
イオン交換樹脂
関連する情報 イオン交換樹脂を理解したら、次のステップです。
- イオン交換体とは
- イオン交換現象を示す物質であり、イオン交換樹脂以外の「有機イオン交換体」には、イオン交換膜、イオン交換セルロースなどがある。「無機イオン交換体」には、沸石類や泥炭などの天然物や、パームチット、ドロマイト、水和酸化鉄などがある。